インタビュー
INTERVIEW
「過度な寄り添い」が組織を壊す。経営者の孤独と葛藤を救った、マネジメントの“黄金律”
26.02.26

株式会社BLUE DESIGN 代表取締役 栗原 孝太郎 氏 × 担当コンサルタント 日置 賢一
[会社名]株式会社BLUE DESIGN
[所在地]〒847-0031 佐賀県唐津市原1471-1
[業 種]建築、不動産、飲食、福祉、宿泊
[資本金]2,000万円
[従業員数]50名
[会社ホームページ]https://www.blue-design.co.jp/
かつて、社員のためにと奔走し、誰よりも働き、誰よりも「いい社長」を演じていた栗原氏。しかし、その先に待っていたのは、社員からの不平不満と組織の停滞でした。泥臭いマネジメントの現場で、同氏はいかにしてハイブリッジマネジメントと出会い、多角化経営を成功させるまでの組織を作り上げたのか。その軌跡を伺いました。
「いい社長」を演じるほど、組織がぬるま湯になっていった
——まずは、ハイブリッジマネジメントとの出会いのきっかけから教えてください。
栗原氏: ハイブリッジマネジメントさんが提唱されているようなマネジメントの考え方に触れたのは、かなり前のことでした。10年以上前、福岡で開催されたセミナーに参加したのが最初です。
当時は、合理的でシビアな組織運営の理論が注目され始めた時期で、私の後輩が経営する塗装会社がそのモデルケースとして紹介されるほど、仕組み化によって急成長を遂げていたんです。
ただ、当時の私にはそうした理論が「冷徹で厳しすぎる」と感じられ、自分には合わないと導入を見送ってしまいました。代わりに、もっと社員の感情に寄り添うようなマネジメントを独学で取り入れようと試行錯誤したのですが……結果的に、組織は見事なまでの「馴れ合いの環境」になってしまったんです。
——当時、組織はどのような状態だったのでしょうか?
栗原氏: 「社員の満足度を上げることこそが正義」だと盲信していました。毎日社員とランチに行き、1on1面談を繰り返しては「会社を良くするために意見を聞かせてくれ」と頭を下げて回っていました。
でも、そこで出てくるのは結局、個人的な不平不満ばかり。「私だけ特別扱いしてほしい」「あのルールは納得いかない」といった要望に、私は「いい社長」であり続けるために応えようとしてしまった。今思えば、自分はカウンセラーではないのに、給料を払って社員の愚痴を聞き続けるという、歪な状況に陥っていましたね。
まさに「のれんに腕押し」状態。私は誰よりも早く出社し、毎朝5時に起きて全社員の日報に「ありがとう」と返信していました。これだけ頑張れば文句は言われないだろう、俺はいい社長だろう、と。しかし、現実は社員の心がどんどん離れていくばかりでした。

善意の「寄り添い」が、組織の成長を止めていた
——良かれと思ってやったことが、裏目に出ていたのですね。
栗原氏: 象徴的だったのは、ある社員に目標設定を促したときのことです。返ってきたのは、「明日から会社に来たら腹筋を10回します」という答えでした。
本来であれば業務に直結する目標を設定すべき場面でしたが、当時の私は本人の前向きな(?)姿勢を否定したくない一心で、「素晴らしい変化だ」と評価してしまったのです。仕事の成果に直結しないことを評価対象にするという、組織運営としては極めて不適切な関わり方をしていました。
そんな時、ハイブリッジマネジメントさんに「良かれと思ってやっている過度な寄り添いが、実は組織を停滞させている」という鋭い指摘を受けたんです。それが、これまでの自己流を捨て、本気で組織の仕組みを整えようと決意した本当のスタートでした。

理論が腹に落ちた。「必要な離職」を乗り越え、組織の質が変わった
——実際に導入を決めてからは、どのような変化がありましたか?
栗原氏: まずは、組織運営の根本的な仕組みについて徹底的に整理しました。特に、各役職の役割が曖昧になっていた点や、指揮命令系統が混乱して現場に正しく指示が伝わっていなかった点など、なぜ自分の組織が機能していなかったのか。その原因が明確なロジックとして言語化されたことで、これまでの違和感がスッと解消されました。
それまでは、能力がある人間や、いわゆる「労働組合のリーダー」のような不満の声を代弁する人間を役職に上げてしまっていました。彼らに機嫌よく働いてもらうために、給料を上げたり役職を与えたりして「黙ってもらう」という、歪んだ評価をしていたことに気づかされました。
——現場にその理論を落とし込む際、抵抗はありませんでしたか?
栗原氏: もちろんありました。でも、ハイブリッジマネジメントさんが現場まで入り込み、時には社員に対して「断固として譲らない」姿勢で向き合ってくれたのが大きかった。コンサルタントにありがちな「教えるから実行は社長がやってください」というスタンスではなく、一緒に戦ってくれる安心感がありました。
結果として、当時のメンバーの半分以上は入れ替わりました。でも、それは「必要な離職」だったと確信しています。乗るべきバスが違っただけなんです。組織の規律を守れない人に合わせることは、長期的には誰のためにもならない。その覚悟が決まったことで、組織の「水質」が劇的に変わりました。
マネジメントは「黄金律」。業界を問わず多角化できる理由
——現在は、建築・不動産だけでなく、多方面に事業を拡大されていますね。
栗原氏: はい。現在は音楽フェス、福祉、飲食、宿泊、そしてM&Aによる事業買収など、未経験の分野にも次々と進出しています。これができるようになったのは、間違いなくマネジメントを仕組み化したおかげです。
「うちは特殊な業界だから」と言う経営者は多いですが、私はマネジメントには普遍的な「黄金律」があると思っています。仕組みさえ機能していれば、社長が現場に張り付かなくても事業は回る。実際に、私は福祉や飲食の現場にはほとんど行っていません。それでも評価制度と行動管理によって、組織が自律的に動いています。
——採用面でも、大きな成果が出ていると伺いました。
栗原氏: 佐賀県唐津市という地方都市ですが、驚くほど大学生が集まるようになりました。先日はインターンシップの希望者が殺到し、多くの若者が「ここで働きたい」と言ってくれています。
なぜか。マネジメントが機能していると、社長や管理職が「死ぬほどきつそう」に見えないからだと思うんです。以前の私は常に余裕がなく、不満を聞くのに必死でした。今は、やるべきことが明確で、結果に対して感謝ができる。社長が自己実現を楽しんでいる姿を見せられていることが、最大の採用ブランディングになっているのかもしれません。
検討中の経営者へ:先延ばしは「逆走」と同じ
——導入を迷っている経営者の方に、メッセージをお願いします。
栗原氏: 「利益が出てから」「時期を見て」と先延ばしにするのは、一番の損失です。マネジメントの知識がないまま組織を運営するのは、目的地とは逆方向に向かって車を走らせているようなものです。
投資をしないことを「プラマイゼロ」だと勘違いしがちですが、実際には毎日少しずつ「逆方向」にズレていっている。1年経った時のズレを取り戻すには、莫大な時間とお金がかかります。
私はこれまで遠回りして様々な研修やサービスにも多額の投資をしてきました。だからこそ断言できます。自己流の限界を認め、早く正しいマネジメントを入れることが、最もコストパフォーマンスが良い。迷っているなら、私のところに相談に来てください。全力で「早くやったほうがいい」と背中を押しますよ。
