インタビュー
INTERVIEW
感情マネジメントからの脱却。経営者の「迷い」を消し、現場の「進化」を生み出した組織改革の全貌
26.02.26

水溜食品株式会社 代表取締役社長 水溜 光一 氏 × 担当コンサルタント 小島 慎也
[会社名]水溜食品株式会社
[所在地]〒899-3511 鹿児島県南さつま市金峰町宮崎2940
[業 種]漬物製造卸売業
[資本金]1,000万円
[従業員数]48名
老舗食品メーカーとして伝統を守りつつも、組織運営の壁にぶつかっていた水溜氏。独学のマネジメントが限界を迎え、空回りする日々の中で彼が見つけた「正解」とは何だったのか。感情に左右されない「仕組みによる解決」がもたらした、驚くべき組織の変容に迫ります。
独学マネジメントの限界:良かれと思った「つまみ食い」が組織を蝕む
――まずは、ハイブリッジマネジメントのサービスを導入される前の状況について、当時の率直な思いをお聞かせください。
水溜氏: 一言で言えば、出口のない迷路を全力疾走しているような状態でした。 経営を良くしたい一心で、話題のビジネス書を読み漁っては「これは良そうだ」と思う手法を片っ端から取り入れていました。しかし、それらはすべて断片的な知識、いわば「つまみ食い」に過ぎなかったんです。
結果として、私の経営判断から一貫性が失われていきました。昨日言ったことと今日言うことが微妙にズレる。すると現場は混乱し、疲弊していく。一番の苦痛は、膨大な時間と手間をかけているのに、一向に成果が出ないことでした。
――その「ズレ」は、組織にどのような影響を与えていたのでしょうか?
水溜氏: 最悪の循環に陥っていました。「自分はこれだけ必死に学び、現場に落とし込もうとしているのに、なぜ周りは動かないんだ」と。結局、環境や社員のせいにしてしまっていたんです。 自分一人だけが高い熱量で空回りし、周囲との温度差は広がるばかり。次第にコミュニケーションも感情的になり、相手が感情的になると、私もそれに反応してさらに感情をぶつけてしまう。当時の私は、慢性的な体調不良や肩こりに悩まされるほど、精神的にも肉体的にもボロボロでしたね。
導入の決め手:理論への「確信」と、突きつけられた「己のズレ」
――多くのコンサルティングがある中で、なぜハイブリッジマネジメントだったのでしょうか。
水溜氏: 信頼できる経営者仲間からの紹介だったことが大きいですね。実際に組織が劇的に改善された具体的な事例を目の当たりにしていたので、「この会社なら間違いない」という確信を持ってスタートできました。
――導入後、すぐに手応えはありましたか?
水溜氏: いえ、最初は正直に言って「葛藤」の連続でした。 面談の3〜4回目くらいまでは、自分の中で戦いがありましたね。今まで自分が積み上げてきた「独学の正解」が、小島さんの面談によって次々と否定されていく感覚でした。自分の考えがいかにズレていたか、過去の判断ミスや人に対する言葉の選び方の間違いを突きつけられるようで、それを認めて受け入れるまではかなり苦しみました。
しかし、その「痛み」を伴う学びの質の高さこそが、今の変化に直結していると確信しています。

「答えを与えない指導」が呼び覚ました、現場の自立心
――導入後、水溜社長ご自身の関わり方はどう変わりましたか?
水溜氏: 「感情」ではなく「事実」で会話ができるようになりました。 以前ならトラブルが起きたとき、「誰が悪いのか」を反射的に探してしまっていましたが、今は「仕組みのどこに抜け漏れがあったのか?」と冷静に分析できるようになりました。
また、以前は相手に遠慮して言いきれない部分もありましたが、今は明確な判断基準(ルール)があるため、事実に基づいて毅然と接することができる。これが自分にとっても組織にとっても、大きな救いになりました。
――現場の管理職の方々には、どのような変化が見られますか?
水溜氏: 小島さんの「答えを与えない指導」が、彼らを劇的に変えました。 以前は私がすぐに答えを教えてしまい、彼らの思考や経験を奪っていたんです。しかし今は、小島さんが「出来ていない理由は何ですか?」「解決するために今週実行することは何ですか?」と問いかけ続け、徹底して整理を促してくれます。
その結果、管理職としての自覚と責任感が明らかに強まりました。週次会議の様子も一変しましたね。以前は不都合な事実が隠されることもありましたが、今は小さなミスでも迅速に報告が上がり、自ら対策を立てる。「やります」と即答する彼らの姿に、目を見張るほどの成長を感じています。
社長がいなくても回る組織、そして経営者の「日常」が変わる
――組織全体としての成果はいかがでしょうか。
水溜氏: 圧倒的な「進化」です。年一回来社されるお客様から「工場がスッキリした」「商品まで変わったように見える」と驚かれます。実際には商品は同じなのですが、現場のトラブルが減り、整理整頓が隅々まで行き届いていることが、そう感じさせているのでしょう。
昨年、一週間ほど会社を空けたことがありましたが、現場が自律的に動いているのを見て、本当に嬉しかった。以前の、問題を先送りにして悲惨な状態になっていた頃では考えられない光景です。
――経営としての思考にも、余裕が生まれたのではないですか?
水溜氏: ええ。以前は高い売上目標を掲げても、心のどこかで「もし達成できても、組織がボロボロだから事故が起きるのではないか」という恐怖がありました。今は違います。「このチームならこれくらいは行ける」という確固たる信頼がある。だからこそ、より高いビジョンを堂々と掲げられるようになりました。
また、意外かもしれませんが、プライベートも整いました。 マネジメントを「構造」で捉えるようになったことで、自分のコンディションも「構造」として管理するようになったんです。翌日の判断力を鈍らせないために暴飲暴食を控え、サウナでの「帳尻合わせ」ではなく、日々の生活そのものを整える。経営者として常に最高の状態で判断を下すための「構造」を、私生活でも意識するようになりました。

結びに:「本気で変わりたい」経営者へのメッセージ
――最後に、導入を検討されている方へ一言お願いします。
水溜氏: 「今の状況を本気で変えたい」という強い願望がある方なら、必ず大きな効果が得られるはずです。中小企業の経営者は独自の価値観が強いものですが、そこに「正しい理論」がはまれば、スピード感を持って組織を劇的に変えられます。
もちろん、最初は痛みを伴うかもしれません。それは筋肉痛を乗り越えて強くなるマラソンのようなものです。苦難を前提として、一緒に乗り越える覚悟は必要です。ですが、その先には断然良くなったアフターの状態と、新たな挑戦にワクワクできる未来が待っています。